「Ray/レイ」@DVD(ツタヤ)

「ソウルの神様」と呼ばれるレイ・チャールズの半生を描いた映画。主演のジェイミー・フォックスレイ・チャールズにそっくりだと評判になった映画。ジェイミー・フォックスはアカデミー主演男優賞を受賞した。

なんせ神様ですから、偉人の伝記ものとも評される作品。が、リアルに描いているので、麻薬中毒で、女にだらしない様もすべて描かれる。才能を見抜いた周囲の人間に騙されまくる様も、どんどん金にこだわっていく様も描かれる。どこが偉人なんだか。人間としてはサイテーの部類だ。盲目であるがゆえに、常に不安をかかえていたがゆえの、堕落なんだけど。

そして、そういうダメ人間であるがゆえに、その作り出す音楽のすごさに驚かされる。と言っても、なぜゴスペルとジャズを融合させることがすごいのかは、今の私には全くわからないし、ポップになっていくことの変化も全く理解できない。画期的で大ヒットにつながっているんだけど、ジャズ史とか知らないもんね。

私が理解できるのは、オンナに対するだらしなさ、残酷さを、そのまま歌詞にして歌にしているところ。そこまで自分をさらけだしてるのは、天才だよな。オンナとの痴話げんかをそのまま曲に乗せ、そのケンカの相手であるコーラスの女の子にそのまま歌わせている。本人の名前をそのまま使っているんだから・・・。

周りの人間との関係を中心に描いた映画で、当人のことは、子供の頃の事故とか、トラウマとして描かれている。あんだけ作品の奴隷で、すべてを作品に捧げたアーティストなんだから、作品作りの葛藤とかももう少し描いてくれたら良かったのにと思う。次から次へとヒットを飛ばしてきた天才と描かれているけど、実際にはスランプとかあって、もっともっと苦しんでいたんだろうから。クスリやオンナに溺れる理由が何も描かれていないのが、物足りない理由だと思う。

でもまあ、音楽映画としては最高だよな。曲のかっこよさに、負けるよ。

allcinemaonline
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=321431