「春夏秋冬そして春」@DVD(ツタヤ)

韓国映画。「悪い男」を昔のにっかつ「天使のはらわた」シリーズだ、と切って捨てた私だが、実は「天使のはらわた」シリーズが大好きだったというか、大きな影響を受けていたぐらいなので、この「悪い男」の評価は決して低くないのだった。ので、その監督の他の作品も見てみたくなったのだ。この監督は、もしかして人間をわかっているのではないか、と感心していたのだった。

で、この監督、キム・ギドクの2003年の作品(日本公開2004年)。ドイツとの合作みたいだが、めちゃめちゃ韓国映画。韓国の大自然を舞台に、仏教の僧侶が描かれる。

山に囲まれた小さな湖に浮かぶお寺。一人の僧侶と、一緒に暮らす子供の長い生涯が描かれる。人の人生を春夏秋冬に見立て、季節の移り変わりに合わせて綴られる。

人の成長と、苦行、堕落、などなどが、ほとんどセリフなしに描かれる。そのセンスがいい。いろいろ説明したくなるのに、セリフにしない。子供の残酷さと、そこで得た苦しみ。青年に成長して性への目覚めから陥る苦悩。成人となり成長して犯す犯罪と、怒り。この怒りの表現で、必要以上な絶叫セリフを採用しているんだけど、そのセンスがまたいい。他のシーンで無口なぶん、このシーンでは、本来は絶叫は必要ないのだけど、あえて絶叫を採用している。こういうやり方はまるで演劇のよう。センスいいなあ。

キム・ギドクの他の作品も気になってきたよ。

allcinemaonline
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=319601